ボクシング マニー・パッキャオ vs ファン・マヌエル・マルケスの試合を見ました。
過去にマルケス戦は2勝1分の3回。ボクシングで同じ選手と3回やるのも珍しい、しかも最新のは去年。2人ともスーパースターで毎回の注目度が高い中でこの4戦目が組まれたのは、前戦での判定が問題らしい。
試合が始まると会場大盛り上がり。2人ともが前の続きかのように最初から飛ばす飛ばす。
クリンチもない、早送りのようなスピード、音が聞こえてくる程のパワー、ため息の出る高度なテクニックの応酬は世界中のだれもが「これぞボクシング!」と思ったはず。
1Rだけ見た時点で、間違いなく名勝負になる!これから続きをまだまだ見れる!という幸せの瞬間。これは内容が伴ったビッグマッチでこそ生まれる感覚。
3R、たまたま実況も会場も静かになった時、マルケスの大振り右フックがパシーン!という音とともにヒット。吹っ飛ぶような感じでパッキャオがダウン。長年無敵だったパッキャオがあんな倒れ方を。騒然。
そこからパッキャオのすごいのは、守りに入らず打ち合って打ち合ってラウンド最終には優勢なぐらい巻き返している。映画のよう。
さらに5R、マルケスのジャブに合わせたスピードえげつない左ストレートでダウンを取り返す!もうどんなけ贅沢な試合やねん。
ここぐらいで試合を見ながら・・・マルケスは間違いなくめちゃくちゃ強い王者でありスーパースターであり、歴史と記憶に残る名選手やのに、この今の時代のボクシングといえば相手のパッキャオやメイウェザーの名前が挙がるのか・・と。その2人にも挑み追い詰めながらも接戦で敗れ、ほかの挑戦者たちと同じランクと認識され、最後まで助演として2番手として、あくまで主役になることなく引退するのか・・・厳しいなあ。。
とか考えていました。
そして6R。激しい打ち合いが続き、一呼吸おいた時にパッキャオがフックの空振りと同時に足元がグラグラ。そこからステップしてはふらつき、パンチの打ち方も少し不自然に。「足痛めた?」と思いながら見るとラウンド終了10秒前の音。
そこでマルケスの攻撃をかわしつつ左をヒット!マルケスも打ち返す!熱いままインターバルへと行くかと思いきや・・・
踏み込んだパッキャオの顔面にマルケスの右フック!ドンピシャのカウンター!
倒れた瞬間に、見てる全員が終わったと思った。そんな倒れ方でした。
因縁のビッグマッチは壮絶な形で終わり、マルケスは遂に主役に。
パッキャオだからあの速さで踏み込むことができ、マルケスだからそれに退かずにカウンターを打つことができる。2つの高度なボクシングが真正面からぶつかった時に終わった。
パッキャオが人気を得たのは、階級を変えながら常にその時一番強いとされる選手に挑み打ち合い倒し勝ってきたところが最大の魅力。人々が求める完璧なスーパースターであること。だからこそ最後の倒れ方もめちゃくちゃかっこよく見える。
世界的なトップ選手になると、自分がこうなるのが怖くて足を止めてしまう人も多いと思う。強豪との試合を避け続ける王者も多いと思う。でも見てる人の記憶に残るのはこういう人。勝ったマルケスももちろんなんやけど、いつにも増してこの日のパッキャオはかっこよく見えました。
ただただ最高の時間を与えてくれた2人のスーパースターに感謝。