好きな柔道、嫌いな柔道

たまたまですが柔道の世界選手権を見ました。

普段柔道は見ないんですが、チャンネル変えたら中矢力という名前が見えたのでちょっと止まってそのまま。前のオリンピックで、マンスール・イサエフという腕十字すごい外人がいるというのを何かで見て気になって見て、その時の決勝の相手がこの中矢力でした。その試合ではイサエフの緊張感やばい一瞬で狙う腕関節に惹かれてイサエフばっかり印象に残ってましたが、あの時以来見たこの中矢という選手、ちょっと見てみようと。

決勝戦で相手も日本人の大野という選手。早い段階で大野が技ありを取って、しばらく中矢は追いかける展開。
すると中矢が巴投げの形で倒れ込み同時に大野が体を捻って着地しようという一瞬でなんと腕十字!
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一瞬極まったかに見えたものの逃げられました。しかしこの入り方すごかった!柔道詳しくはないですが、こういういろんな技の入り方も昔からのもありつつ新しくどんどん生まれてるのでしょう。
しかし最終は大野がそのまま逃げ切り優勝。
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ただやっぱり基本的に、柔道は投げた後2人が審判の判断を見て待つのが気持ち悪いので好きにはなれません。実戦で強いと言われながら実戦を想定してない感じが、どの格闘技も出るかもしれんけど柔道は特にそれが出てるように見えます。いろいろある格闘技系さらに武道という枠に入ってるはずやのに。

少なくとも知ってる範囲で、極真空手は型や練習でも常に実戦を気にするという考えは残っていて、練習でシャドー1分やるとして時間が経って「止め!」と言われてもパッとやめてはいけない、前に相手がいることを想定して相手から目を離さずにゆっくり構えをとく・・ということを大事にしてます。極真会館の世界大会で試合終了の太鼓が鳴った直後にアンディ・フグが構えを解く瞬間フランシスコ・フィリオの上段回し蹴りが当たってアンディが倒れ、試合終了してるので判定になるのかどうかというところで大山総裁が「終了の合図があっても相手がまだ攻撃を出しているのに構えを解いた方が悪い」ということでフィリオの一本勝ちになったのは有名な試合です。
実戦の想定という意味だけでいけば剣道とかほかの武器を使う武道は特に大事にしてるかもしれません。知らんけどそういうイメージ。

よくコンクリートの上なら柔道が一番強いとかいう話がありますが、それはもう空手で目突きがあればとか、崖の上なら相撲がとか、棒使ってよければ剣道がとか、そんなレベルの話になってきます。あと普段は一本取るための綺麗な投げであって、危なく落とすこともできるって話も、それはもうそういう練習してないと高いレベル同士では難しいと思います。

あと「武道」という言葉にある一般的なイメージ。そこから一番離れてしまってるのが今のオリンピック等で行われてる柔道だと思うし、それに熱狂してる見る側も理解できません。逃げ切る選手はまだましで、ダラダラする選手、礼しない選手、反則する選手、ごねる選手。見てて嫌になる選手が多いイメージです。秋山成勲が柔道衣をすべりやすくしてるという話をしてるのには引きました。
戦い方とはまた違うけど、いい柔道家の有名どころでは篠原選手が世紀の誤審されながらも「自分が弱かった」と言うあれ。ああいうかっこよさを、武道というものには守っていて欲しいのです。

まあその高いレベルの柔道家が「そんなもん当たり前に理解してやってる」と言うならそれでいいんですが、今までみたいな柔道の試合が延々続くんであればオリンピックでもなんでも、あんまり見ないと思います。