12月のお楽しみK-1 WORLD GPが今年も終わりました。
結果から見たらかなり堅い予想の通りに進んだ感じで、ちょっと穴を狙った自分の予想はことごとく外れました。
ただ、今年はほんまに、今までで一番・・・評価が高いグランプリ。終わった後ネットでもどこでも、誰も苦言を発してない。「すばらしかった」「おもしろかった」ばっかり。
結果はセーム・シュルトが優勝っていう一番「おもしろくない」結果やのに、それまでの過程がすごかったせいで「史上最高のK-1グランプリ」になった。
一番大きいのは、やっぱり主人公のバダ・ハリ。この人が「バッシングを受けるべき悪童」から「皆のヒーロー」に変わった日。プロレスで言うところのキャラ変更、この場合はバダが「ベビーターン」したことになります。つまりベビーフェイス(善玉)に転向。
K-1デビュー前からは欧米にいる天才として騒がれて、いざK-1デビューしたと思ったらそのキャラと態度で「調子に乗ってる」と言われ、KO負けしたら「ざまあみろ」と言われ、テレビに後押しされ始めると「キャラだけで、強くない」と言われ、去年のグランプリ決勝での反則の後なんかは「追放すべし」と言われたバダ・ハリに追い打ちをかけたのが大晦日のアリスター・オーフレイム戦。
まさかのダウンを喫してからはDREAMファン?からのアリスター応援に飲まれたままKO負け。完全にヒール扱いでした。
ただ、5月にシュルトにKO勝ちしたあたりから、「やっぱり強いんじゃ?」って感じになってきて・・・「バダ・ハリがK-1をおもしろくしてる」という見方が増えたような気がします。
事実、一時期のレミー全盛期のような「倒されない」中心の攻防とは変わって最近はK-1黄金時代のような「倒す」攻防になってきたその代表はどう見てもバダ。シュルトも、アーツもKOしてしまう人なんて出てくるとは思えんかった。
そんで今年の決勝の頃には、その発言も挑発的というよりは自信満々と言う方が強い印象のコメントになってたので、もう誰もが「バダが優勝したらおもしろい」って思ってたんじゃないか。
しかも、あのアリスターが外敵として参戦、アーツを破って決勝まで来てしまったので、「いやいやいや・・・アリスターまさか優勝せんよな?」って、K-1の危機を感じた。総合で、しかも過去けっこうKO負けのあるアリスターがK-1で優勝してしまったら、今まで見てきたK-1はなんやってん?って。
そんなこんなで、見た目でわかりやすく「倒して」K-1を守ってくれるのはバダしかいない!ってことで、当日バダへの期待はめちゃめちゃ大きくなってました。そのバダはルスラン・カラエフに圧勝。
そしてアリスターは、かつて最高の「善玉」だった極真の今の代表エヴェルトン・テイシェイラに一撃KO勝ち。完璧に舞台が整った状態で始まった世紀のリベンジ戦。本拠地でK-1を守れるかどうかがかかった試合。かつての佐竹 vs キモ、ホースト vs サップ。
ここでバダがアリスターの顔面を打ちぬいてダウンを取った瞬間から、バダは物凄い「バダ・ハリ」コールを受けます。完全にベビーフェイスに転向。
そうそう、こういう選手が見たかった。K-1黄金時代を支えたアンディ・フグやピーター・アーツ、サム・グレコやジェロム・レ・バンナみたいに僕らの期待を背負って一緒にK-1のために戦ってるような感覚を出してくれる、ヒーローのような選手。最近はこの役をアーツが一人で背負ってた。ここから交代!
もう、この先この人以外に「主人公」はおらんでしょう。この日のグランプリの評価が高かったのは、このバダの姿を通して「K-1の明るい未来」が見えたからじゃないかと。
この後シュルトに負けてしまうわけやけども、来年もまた優勝の期待を背負って帰ってくることと思います。それで優勝した時には・・・アーツの強さ、アンディの精神、ホーストのテクニック、ベルナルドのパワー、バンナやグレコの気迫を持った、K-1の象徴が生まれるのかも~