ピーター・アーツのラスト・ラン

4/3のK-1 WORLD GP、結婚式帰ってから見ました。今回の目玉はアレクセイ・イグナショフのK-1本戦復帰&バダ・ハリ戦、ヘビーとスーパーヘビーの二大王座戦。特にヘビー級はあのアーツが挑戦。久々に豪華なワンマッチ大会でした。

今回からPPV生放送があるってことやけど、前までのフジテレビNEXTじゃなくなったのはなんでやろう?あっちは月1500円かなんかで、今回はPPV3150円。全然ちゃう。でかい。そう思うと7試合って少なく感じます。こないだのDREAMもそうやけども。

○グーカン・サキ vs シング”心”ジャディブ×

この二人にここまで差があったとは。去年ジャディブの上手さが光っていたので、この試合はかなり濃厚な技術戦になるかなあと思ってたけど、サキのパワーがかなり上がってたように思いました。この人はまだまだどんどん強くなりそう。

○ジェロム・レ・バンナ vs タイロン・スポーン×

バンナがチャクリキで練習するなんて、ちょっと前までは考えられん&想像もつかなかったです。ここ数年の状況を見てると、煽り映像でのアーツとバンナが一緒に練習するシーンはものすごい感慨深いものがありました。やっぱり、あの黄金時代を経験してる残った二人っていう思いは、ファンだけじゃなく本人達も強いのかもしれません。

ほんで試合、バンナは気合は入ってるように見えたけど、まだまだ全盛期には及ばない感じ。そしてタイロンのいつもの上手さと力強さ、そして打たれ弱さがいつも通り出てしまった試合でした。バンナの右でのダウンがなければタイロンが勝ってたと思うので、二人ともそれぞれ今後が楽しみになりました。バンナは一回でいい、あの衝撃のKOを見せて欲しい。

○アリスター・オーフレイム vs ジャバット・ポトラック×

ジャバットってのは最後まで誰かわからなかったが、ひょっとして?と思わされました。アリスターはどうしても打たれ弱い感があるので、攻め込まれる時はやばく見えてしまいます。そのへんはモチベーションの高さによって変わってきそうなんで、もっとビッグマッチで活躍してほしい。

ピーター・アーツ戦は後にして・・・

○セーム・シュルト vs エロール・ジマーマン×

ジマーマンが「オレやバダ・ハリは常にKOを狙ってる」ってコメントしてたので、バダとともに盛り上げて行こうっていう意識が強いのでしょうか。こういうことを若い選手が言ってくれるのはファンもうれしい。しかし試合はいつも通りシュルトのジャブジャブから逃れられず判定負け。昔、ホーストが判定勝ち続いてた時でももっとおもしろかったのになあ・・・

○バダ・ハリ vs アレクセイ・イグナショフ×

バダは事件のことでバタバタしてたと思うけど試合はかなり調子良さそう。いつもの殺気あふれるバダ、そして懐かしいあのテーマで入場してきたイグナショフ。昔からこのたたずまいが大好きやったので今回の復帰はほんまにうれしかったのです。

でも試合始まったらイグナショフ防戦一方。あの去年みんなが倒れたバダの猛攻を綺麗にスウェーでよけるところはよかったけど、返さない。なんでや!左フックは?右ローは?右ハイは?ヒザは?

イグナショフのディフェンスの上手さとバダの強さを見た3R、もちろんバダ勝利でした。あ~、せっかくトップに戻れるチャンスやったのに・・・

○京太郎 vs ピーター・アーツ×

一番ショッキングな試合でした。

入場で現れたアーツはまるで93年。かなり絞られた顔、おなじみランバージャックスタイル。隣にはトム・ハーリック。これを2010年に見れるとは・・・。去年開幕戦で負けたこともあって、今年の開幕戦出場を目指してなのかどうなのか、ヘビー級タイトルを取りに来たアーツ。これが決まった時、僕は「残り少ないアーツなんやから、もっと強い選手との試合が見たいよ!」と思いました。それまで二連敗してた京太郎だったから。

アーツはここで確実に取れるタイトルを取って、それを引っ提げ開幕戦出場、そして最後のGP優勝を目指して走るものだと思っていました。その最後の姿を見ようと、今年の決勝は横浜まで見に行こう!と心に決めていました。

しかし、試合が始まって、京太郎のローキックでアーツの体が流れた時に・・・「パワー差あんまりないのか?」と感じました。アーツはスピードじゃなく、体格とテクニックで相手をコーナーに追い詰めじわじわ体力を削って仕留めるタイプ。体格から来るパワーの点で差がないとしたら・・・京太郎のスピードについていけるか?

京太郎の動きは見事にハマってました。京太郎がローを当てる、それにアーツが打ち返した頃にはもう京太郎はいない。パンチでも同じ。アーツは持ち前の伸びのいい「槍の右ストレート」を狙ってどんどん出てくる。ホーストやフィリォからダウンを獲り、アンディやバンナ、ベルナルドを倒したあの右を打ち込もうと前に出る。なのに、この二連敗中の日本人には当たらない。

もうその時点で信じられない光景でした。アーツが翻弄されてる??そして、京太郎がカウンターをだんだんパンチに変えてきました。アーツの左にかぶせた右フック、ちょっと距離が遠いのか当たらない。けど、それはタイミングが合ってて「やばい?」と思ったら・・・1R終盤にアゴに命中!あのアーツが、小さい日本人のパンチに頭を揺らされコーナーまで下がり、追撃でダウンしました。まじでえええええ!!!???立ち上がるもフラフラのアーツに打ち込む京太郎。ゴングと同時に倒れこむアーツ、ほぼダウンと同じ。

あの頑丈なアーツが、打たれ強いアーツが、まさか日本人に頭を揺らされるなんて、考えられない事態でした。

2R、ダメージ残りながらも立て直そうと踏ん張るアーツ。確実に仕留めようとする京太郎。アーツはなんとか一撃当てて京太郎を止めたいのか、槍のワンツースリーを中心に前に出ます。スピードについていこうと、細かい連打。でももう頭がまわってないのか、ちょっと単調。京太郎がワンツーに合わせて軽い左フックを当ててタイミングを確認した、その次のワンツーで・・・京太郎の右!

強烈にアーツのアゴが揺れ、すごい音がしました。一瞬そのまま固まったアーツは、無意識に続きの左ストレートを打ちながら倒れました。

こんな壮絶なKO負け見たことない。はじめの一歩やないねんから。これこそ、常にKOを狙って戦って来たK-1の象徴らしい倒れ方。これぞ、皆が憧れた「20世紀最強の暴君」アーツの倒れ方。けど、それを起こしたのがわずか183cmの日本人とは!

完全なKO負けをしたアーツは、ここからどうするんでしょう。そろそろ最後の年と考えてただろうから、今年のGP優勝を目指してまた試合に出るのか?体重を落としたことがどれだけ影響あったかわからんけど、最後の最後までKO狙いの暴君アーツを見たい!

92年アーツが日本に来た時、94,95年とK-1連覇した時、98年に全KOで復活優勝した時、そこから9連続KO勝ちしてた時、2006年リザーバーから決勝戦まで勝ち上がった時、2008年シュルトを止めた時!

その時その時、アーツに憧れた人がいたと思います。これまで戦って来た戦友ホースト、アンディ、ベルナルド、グレコ、フィリォらを勝手に頭の中でアーツに背負わせて、今の試合を見てる人も多いと思います。

そんなK-1の象徴ピーター・アーツの最後の試合はもう近いですよ!心して、感謝を込めて、見守りましょう。

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